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座右の寓話「靴のセールスマン」

香港で靴の製造会社を経営する人物がいた。
ある日、彼は、南の太平洋の孤島に靴の市場が存在するかどうかをお知りたくて、
一人のセールスマンを派遣した。

その男は、現地の様子をみてすぐに電報を打った。
「島の人間は靴を履いていません。よってここには市場は存在しません」
納得のいかない経営者は、別のセールスマンを派遣した。
その男からの電報は次のような内容だった。
「島の人間は靴を履いていません。よって、ものすごい市場が存在します」

これにも納得いかなかった経営者は、さらに別のセールスマンを派遣した。
この男は、前に派遣された二人のセールスマンと違って、マーケティングの専門家でもあった。
彼は、部族長や現地人にインタビューした上で、こう打電してきた。

「島の人は靴を履いていません。そのため、彼らの足は傷つき、あざもできています。
私は部長族に、靴を履くようになれば島民は足の悩みから解放されると説明しました。
部族長は非常に乗り気です。彼の見積もりでは、一足十㌦なら島民の70%が購入するとのことです。
おそらく初年度だけで五千足は売れるでしょう。
島までの輸送経路と島内の流通経路を確立するのに要するコストを差し引いても、
大きな利益が生まれる可能性のある事業だと思われます。早急に話を進めましょう」

【需要は探すのではなく、つくり出すもの】

一つの物事に対するとらえ方はひとそれぞれである。

一人目のセールスマンは「島の人間は靴を履いていない」
という事実から、
「市場は存在しない」と判断した。

二人目のセールスマンは「島の人間は靴を履いていない」
という事実から、
「ものすごい市場が存在する」と判断した。
同じ事実を見たのに、異なった判断が生まれてくるのは興味深い。
二人の違いは、物事をネガティブにとらえるか、ポジティブにとらえるかの違いだと考えてもいい。
半分だけ水が入ったコップをみて、
「半分しか水が入っていない」
ととらえるか、
「半分も水が入っている」ととらえるかと同じである。

さて、二人目のセールスマンと三人目のセールスマンはともに
「ものすごい市場があるかもしれない」と感じた点では同じである。
しかし、二人目のセールスマンはそこで終わった。
それに対して、三人目のセールスマンはその可能性を確かめようと点で優れている。

三人目のセールスマンの仕事ぶりで連想されるのは、
顕在需要と潜在需要とい二つの重要である。

顕在需要とは、
はっきりと現れて存在している重要であり、商品の購入に直接結び付く需要である。

潜在需要とは、
商品の価格が高すぎたり、情報が不足していたりするため、
現実にはまだ顕在化していない需要である。

三人目のセールスマンは、
顕在需要はまだないものの潜在需要はあるのではないかという可能性を感じ、
その可能性を調査によって明らかにし、
潜在需要を顕在需要へと変化させていく道筋をつくったのだ。

新しい販路を開拓しようとするとき、まず大事なのはその地域や現場に 需要があるかどうかを確認することだ。顕在需要がなくても、潜在需要があればいい。
顕在需要があれば、すぐに商売をすることはできる。
しかし、
多くの場合はすでにそこで商売をしている人がいるので、付加価値は小さい。
一方、
潜在需要を掘り起こすことは手間とお金がかかるが、
うまくいけば、
付加価値の大きいビジネスになっていく。

DMU(Decision Making Unit:購買意思決定者)に会ったことが、
三人目のセールスマンが成功した要因!

『目標は方向性ではなく到達地点で語れ』

「頑張る」「努力する」などはあくまで姿勢であって、目標ではない。
一人目のセールスマンは論外、
二人目のセールスマンはDMUに会うまでの思考、マーケティング力がなかったことが敗因!

とはいえ、
自分にあてはめたらせいぜい二人目のセールスマン止まりだろう。


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